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入所者の方が不幸にしてお亡くなりになった場合、その葬儀において、担当した職員が園を代表して弔辞を読みあげます。このことは担当職員が誠心誠意勤めなければ、とうてい弔辞の文を作り読みあげることはできません。職員の気持ちが伝わった時の感激と、お世話させていただいた感謝の思いをあらわす弔文の一例をご紹介いたします。
 「家族思い」
ケアワーカー  中村三枝子
弔辞

 今は亡き、立川キヨ子様の御霊前に、温水園の職員を代表いたしまして、謹んでお別れの言葉を申し上げます。

 四方の山々は雪化粧となり玄関には門松が飾られ、新しい年をご一緒に迎えたばかり。今月十二日には満九十六歳のお誕生日という、松の内の急なご逝去だけに言葉もございません。

 立川様、九十六年という長い人生、本当にお疲れ様でした。立川様は、平成十四年十月三日より温水園ショートステイを利用されるようになりました。利用当初は園内を元気に歩かれ、歌がお好きで職員に歌を教えてくださっていたと聞いています。そして、翌年の八月二十一日より正式入所となられました。私は担当として約三年間のお付き合いでした。
 私にとりましては、初めて担当させて頂いた方が立川様で、いつも「すまんなぁ」と頭を下げられていた姿に、また私たちも頑張ってお世話させて頂こうという気持ちになり、多くの事を学ばせて頂くことが出来、御一緒させて頂いた事をとても嬉しく思っております。

 立川様は、いつも家の事を気にかけておられ「和利はどこに行ったんじゃろか」「子どもはどげえしたんじゃろか」と心配されており、尋ねられることが多くありました。「和利さんは公民館に行っていますよ」「子どもさんは学校に行っていますよ」とお伝えすると、安心されにこにこと微笑んでおられました。
 立川様は働き者で、いつも「何かする事はないかい」と私たちによくお声をかけてくださいました。一緒にタオルたたみをされた時には、昔の畑仕事の話しをしてくださいました。私が尋ねると、いろいろな野菜の話しをしてくださいました。また、歌がお好きで、よく軍歌を口ずさんでいましたね。立川様とよく一緒に唄った「戦友」の歌詞を書いた紙を私は今も持っています。

 月に一度は外泊し、ご家族の方と過ごされ、嬉しそうにご家族の方々に囲まれ車に乗り帰られていましたね。園に戻られた際、「家でお風呂も入っています」との、ご家族の言葉に「ありがとうございます」と声をかけると「親ですから」と笑顔で言われた娘様のお言葉が忘れられません。十二月も外泊しご家族様と過ごされ、次はお正月にと楽しみにされていたそんな矢先、十二月二十四日体調を崩されました。食事の量も減り心配しておりましたが、徐々に食事も召し上がれるようになり、車椅子に起きられるようにまでなっていました。

 平成二十一年一月四日の朝、いつもの様に車椅子に座っておられ、ウトウトとされていたので、朝の挨拶をすると笑顔で返してくださいました。私たちが朝食の支度をしている時、状態が悪くなったと報告を受け、驚きました。それからは、傍で励ましの声をかけ続けると、最後の最後までお話しをしようとされましたが、「今は何も話さなくてよいですよ」と声をかけ体をさすり、ずっと立川様の手を握っていました。すぐにお嫁様とお嬢様が駆けつけてくださり「ばあちゃん、頑張って」と何度も何度も手をさすりお声をかける姿に、お互いの愛情の深さをひしひしと感じました。
 その後、日野病院に搬送され、元気になって温水園に帰ってきてほしいと祈る気持ちでいっぱいでしたが、十一時十五分、立川様が息を引取られたとのお知らせを聞き、耳を疑い今でも信じられない気持ちです。これで立川様とお別れしなければならないと思うと、本当に悲しくてたまりません。
 ですが、立川様の安らかなお顔を拝見し、人生の仕上げの一部を私たちがお手伝いさせて頂けた事に心より感謝申し上げます。

 立川様より学ばせて頂いた数々の教えを生かし、この先、巡り会う高齢者の方々に心を込めてお世話させて頂く事を故立川キヨ子様の御霊前にお誓い申し上げお別れの言葉といたします。
 最後に理事長より御霊前に弔句を頂いておりますので、詠ませて頂きます。

   松の内  急ぎ落ちたる寒椿



                            平成二十一年一月七日

                            高齢者福祉総合センター 温水園
                               担当ケアワーカー 中村三枝子 

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